「飲食・美容」業界がAI時代にすべき事とは?

「飲食・美容」業界がAI時代にすべき事とは?

多くの飲食・美容室が抱える「ポータルサイト依存」と「SNS集客の限界」。

AI検索時代を迎えた今、本当に必要なのは一瞬のドーピングではなく、AIに評価される「お店の信頼づくり」です。

Webの知識がなくても大丈夫。AI時代を勝ち抜くための無料マップ活用と自社サイトの育て方をまとめました。

「毎月高い掲載料を払ってHOT PEPPERや食べログに載せているのに、以前ほど新規のお客様が増えない…」
「結局、割引クーポン目当てのお客様ばかりでリピートに繋がらない…」

いま、多くの美容室や飲食店など、ポータルサイトに依存している業界ならではの悩みが聞こえてきます。

その原因は、時代が「ポータルサイトで探す」から、「AIに直接おすすめを聞く」時代へ変わったことにあります。

「ITやWebのことはよくわからない」というオーナー様でも大丈夫です。
難しい知識を使わずに、AI時代にお客様から選ばれ続けるお店になるための「3つのステップ」を分かりやすく解説します。

時代の余波

お客様はAIに「自分にぴったりのお店」を聞いている

以前なら、お客様はポータルサイトを開き、エリアや予算で絞り込んで店を探していました。

しかし今の20代〜40代のユーザーは、スマホのAIに向かって、もっと具体的に話しかけるように検索しています。

「恵比寿で、くせ毛の悩みをじっくり聞いてくれる静かな美容室は?」
「新宿で、30代の同窓会にぴったりな個室のある和食店は?」

AIはネット上のあらゆる情報を一瞬で読み込み、「その悩みを一番解決してくれそうなお店」をピックアップして提案します。

つまりこれからは、「ポータルサイトで目立つこと」以上に、「AIに『このお店が一番おすすめです』と覚えてもらうこと」が集客の鍵になるのです。

ビジネスプロフィールに登録

なぜAIはポータルサイトや口コミを「真っ先に参照する」のか?

AIはお店をおすすめするとき、自社サイトを見る前に、まずポータルサイトやGoogleマップの「店舗情報」「口コミ(レビュー)」最優先の評価基準として読みに行きます

これには明確な2つの理由があります。

  1. 第三者の「リアルな感想」を信用するから
    自社サイトに「接客が日本一丁寧です」と書いてあっても、AIは真に受けません。なぜなら「自己アピール(自称)」でしかないからです。ポータルサイトやGoogleマップに集まる何十件、何百件ものお客様のリアルな声(一次情報)を見て、「本当に良い店か」を客観的に判断しています。
  2. AIにとって「最も読みやすい教科書」だから
    ポータルサイトは、営業時間、席数、価格帯、設備などがきれいに整理されていて、検索結果のトップにも出てきます。AIにとっても一番読みやすく、信用しやすい情報源なのです。

まずは「Googleビジネスプロフィール」に正しく店舗情報を登録し、ポータルサイトと併せて「AIがいつ見に来ても正しい情報が載っている状態」を作ることが第一歩。

これは「MEO(マップエンジン最適化)」といわれるもので、お店側で簡単にできます。

Googleビジネスプロフィール

レビューの育成

AIがあなたのお店をおすすめしたくなる「良い口コミ」の育て方

ポータルサイトやGoogleマップの口コミは、単に「星5の評価が何件あるか」だけで決まるわけではありません。AIは口コミの「文章の中身(どんな体験をしたか)」、探して「店舗側の返信」までじっくり読んでいます。

①「具体性のある口コミ」を増やす声かけ

  • イマイチな口コミ例:「良かったです!星5!」
  • AIに評価される口コミ例:「長年くせ毛で悩んでいましたが、スタイリストの〇〇さんが丁寧にカウンセリングしてくれて、毎朝のアイロンが不要になりました!」

「お客様、もしよろしければ『今日の施術で良かったところ』や『お悩みがどう変わったか』を口コミに書いていただけると嬉しいです!」と一言添えてみてください。
具体的なお悩みが解決されたエピソードが増えるほど、AIは「この店はこの悩みに強い店なんだ」と深く理解します。

②「口コミへの返信」までAIは見ている!悪評こそ誠実に対応を

よく「口コミに返信した方がいいですか?」「厳しい意見が書かれたらどうしよう」と相談されますが、口コミへの返信は絶対にすべきです。なぜなら、AIは「お客様の口コミ」と「お店からの返事」をセットで解釈しているからです。

  • 悪評を放置した場合:AIは「この店は不満を放置する、信頼性の低い店だ」と評価します。
  • 悪評にも誠実に返信した場合:AIは「不満に対しても真摯にお詫びし、改善しようとする誠実で信頼できる店だ」と解釈します。

たとえ厳しい意見であっても、言い訳をせずに感謝とお詫び、今後の改善策を丁寧に返信すること。その「誠実な対応の文章」自体が、AIに対して「このお店は圧倒的に信頼できる(E-E-A-T)」と確信させる強烈なデータになるのです。

これらが「AIO(AI検索最適化)」の基本であり、お店側ですべき対策です。

SNSを正しく運用

SNSのフォロワーが増えれば、AIにも評価される?

飲食や美容業界のオーナー様からよくいただくのが、「InstagramやTikTokを頑張ってフォロワーを増やせば、AIもおすすめしてくれるの?」という質問です。

結論から言うと、いくら素敵な写真や動画を投稿しても、どれだけフォロワー数が増えても、AIの評価は上がることはありません。なぜなら、AIはSNSの非公開データ(正確なフォロワー数など)を直接チェックして「フォロワーが多いから優秀な店だ」と判断しているわけではないからです。

しかし、SNSでの話題性がきっかけとなり、Web上で以下の「3つの変化」が起きると、AIからの評価は爆発的に高まります。

① Web上のブログやサイトで「お店の名前」が多く語られる(サイテーション)

SNSで話題になると、個人のブログや地域メディアで「〇〇に行ってきた」「おすすめの美容室〇〇選」と店名がテキストで紹介される機会が増えます。AIはこの「ネット上の話題(テキストでの言及数)」を強く評価します。

② Googleで「店名」を直接検索する人(指名検索)が増える

インスタで店を知ったお客様が、Googleで「〇〇(店名)」と検索してアクセスするデータが溜まると、AIは「この地域で非常に人気と関心が高い信頼できる店だ」と認識します。

③ 熱量の高い「具体的な口コミ」が集まりやすくなる

SNSを通してファンになったお客様は、Googleマップやポータルサイトにも熱心で具体性の高い口コミ(AIが大好物な一次情報)を書いてくれやすくなります。

つまり、SNSマーケティングの本質は、単に数字を競うことではありません。「SNSで生まれた話題やお客様の熱量を、AIが読めるテキスト(口コミやネット上の評判)へ着実に変換していくこと」こそが、AI時代における正しいSNSの活用法なのです。

自社サイトの強化

決定打は「自社サイト」!ポータルサイトの限界を超える4つの工夫

ここで一つ大きな問題があります。

ポータルサイトやGoogleマップは、全店舗がまったく同じフォーマット(型)で並んでいます。
いわば、全員が同じデザインの「共通の履歴書」を出しているようなもの。そのため、AIから見ると「どの店も似たり寄ったりで、一番の決め手に欠ける」状態になっています。

そこで、ポータルサイトや口コミで店舗の存在を知ったAIが、最後に「この店は本当に信頼できるか?」と深掘りしに来るのが「お店の自社サイト」です。

自社サイトであれば、ポータルサイトの枠には収まらない「お店の圧倒的な強み」を100%アピールできます。
Web制作の現場で取り入れている4つの差別化テクニックをご紹介します。

① 「誰のどんな悩みを解決する店か」を文章にする

ただ「おしゃれな美容室」「美味しいイタリアン」と書くのではなく、「30代からの髪質改善専門店」「アレルギー対応の創作和食」のように、ターゲットとお悩みを文章で明確に記載します。

② スタッフ・料理人の「こだわり(熱量)」をテキストで残す

「なぜこの薬剤を選ぶのか」「なぜこの仕入れ先なのか」という開発秘話や技術のこだわりは、ポータルサイトの短い定型文では伝わりません。写真だけでなく、AIが読める「文章」としてサイトに残すことで、AIは「専門性が非常に高いお店」だと判断します。

③ お客様の疑問に答える「FAQページ」を作る

「駐車場はありますか?」「子連れでも大丈夫ですか?」「施術時間はどれくらい?」といった質問と回答をまとめたページを作ります。
AIはお客さんの質問に答えるのが仕事なので、「FAQページがあるサイト」を回答の根拠として非常に好み、併せて専用の構造化データを仕込むことで引用されやすくなります。

④ 構造化データや.mdファイルを仕込む

見た目がおしゃれなサイトでも、Webの裏側(コード)が整理されていないと、AIは「何が書いてあるか分からないサイト」として素通りしてしまいます。
プロのWeb制作会社に依頼し、AIが読める専用のタグ「構造化データ」やマークダウン形式の「llms.txt」「.mdファイル」を実装してもらうことで、AIに対しお店の概要や魅力を正確に伝えることができます。

このように、AIへブランディングすることが「LLMO(大規模言語モデル最適化)」であり、AI時代に勝ち抜くための奥義です。

最後に

自社サイトは「AIに魅力を伝える最高の営業マン」

「AI対策」と聞くと難しく思えるかもしれませんが、やるべきことはシンプルです。

それは、「ポータルサイトや口コミ・返信で『お店の信頼』を稼ぎ、自社サイトで『他店との決定的な違い』をAIに教えてあげること」です。

ポータルサイトだけに毎月高いコストを払い続けるのではなく、一度しっかりとした「AI時代に対応した自社サイト」を構築すれば、そこが24時間365日、AIに対して自社の魅力をアピールし続ける「最強の営業マン」になってくれます。

LLMOにショートカットはありません。今回紹介したような、泥臭い地道な作業の積み重ねこそが、AIに信頼されるために本当に必要な事なんです。

まずはGoogleマップの情報を整え、口コミに温かい返信をすることから始めてみませんか?

この記事を書いた人

森田 王(もりた おう)

株式会社テンカ 代表取締役 / ウェブクリエイター / グラフィックデザイナー / Shopifyパートナー / 一般社団法人 岐阜北法人会員

1977年12月20日生まれ。2001年に個人サイト「モリータ王国」を開設。地元の広告代理店やデザイン会社、企業広報を経て、2007年12月にデザイン事務所「モリタ・クリエイト」を創業。2022年12月に「株式会社テンカ」を設立。ウェブ業界25年以上、EC業界20年以上のキャリア。Shopifyは日本上陸以前から携わっている。